ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「『体調が悪くてもこれなら食べるかもしれないから、持って行って欲しい。でも、俺からだって事は絶対に言わないで』だってさ……」


真保は雪ちゃんの口調を真似るように言った後、わざとらしくため息をついた。


「あ〜ぁ、言っちゃった……。あたし、スパイ失格だわ……」


おどけたように笑った彼女に釣られて、ほんの少しだけ口元を緩めてしまう。


「やっと笑った」


すると、真保が安堵の声と苦笑を漏らした。


「渚はさ、無駄に元気なくらいがちょうどいいんだよ。てか、渚が元気じゃないと、こっちまで調子狂っちゃうし」


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