ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「知らなかったでしょ?」


何とか笑顔を繕って、顔だけで振り返っている雪ちゃんを見つめる。


彼は瞳に動揺の色を浮かべながらも、眉を寄せて笑った。


「確かに、知らなかったな……」


その声がさっきよりも柔らかくて、胸の奥がキュッと締め付けられる。


「あたしはね、ずっと雪ちゃんを見て来たの。だから……雪ちゃんが知らない雪ちゃんも、きっとたくさん知ってると思うよ?」


「……そうかもしれないね」


零された同意の言葉に唇を噛み締めると、切なさと嬉しさが混じった複雑な感情が込み上げて来た。


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