ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「でもね、雪ちゃん……」


雪ちゃんの体を抱き締めている腕に、ギュッと力を込める。


「そんな嘘なんていらないよ。雪ちゃんが簡単に決めた訳じゃない事もわかってるけど、あたしだって雪ちゃんを守りたいの……。だから……っ!」


零れ落ち始めた涙を堪えるように唇を噛み締め、今にも漏れてしまいそうな嗚咽を必死に飲み込む。


それから呼吸を整える為に、何度も息をゆっくりと吐いた。


「だから……『別れる』なんて悲しい事、言わないでよ……」


いつの間にか夕陽がほとんど沈んで、辺りは暗くなってしまっていた。


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