ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
顔を上げると、夕陽が沈んだ薄暗い海岸に雪ちゃんの苦しげな表情が浮かんでいた。


「だから……一緒にいようよ……」


彼はしばらく悩ましげに眉を寄せていたけど、程なくして意を決したように息を吐いた。


「一つだけ、約束して」


いつもよりも低い声で落とされた、言葉。


“約束”の内容がわからない事に不安を抱きながらも、迷う事無く頷く。


短い沈黙の後、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめた雪ちゃんが続きを紡いだ。


「“何があっても泣かない”って」


海から吹く風の音と潮騒の中に、彼の声が響いた。


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