ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「おいで」


嬉しくて、嬉しくて……。


だけど、胸の中にはそれ以上の切なさが込み上げて来て、色んな感情が複雑に混ざり合う。


それを隠すように笑って雪ちゃんの腕の中に飛び込めば、彼はあたしを軽々と受け止めて抱き締めてくれた。


大好きな温もりと、柔らかくて優しい香りが全身を包む。


久しぶりに身近に感じる事が出来たそれらは、あたしを幸せにし、そして切なくもさせた。


そんなあたしを余所に、雪ちゃんが笑ったのが何となく雰囲気でわかった。


そっと顔を上げると、彼が瞳を細めながら口を開いた。


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