ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜

「渚が俺に甘えるの、久しぶりだね」


そう言って笑った雪ちゃんがあまりにも幸せそうだったから、あたしも彼に釣られるように笑っていた。


胸の中を掻き乱す切なさを押し込め、雪ちゃんにギュッと抱き着く。


「雪ちゃんの『おいで』も、久しぶりに聞いたよ」


「あれ？そうだっけ？」


惚けたように笑う雪ちゃんに、あたしはまた自然と笑みを零してしまう。


くすぐったくて、優しさに溢れた穏やかな時間。


少し前までは当たり前だったそれは、言葉に出来ないくらいに幸せで、どこか懐かしい匂いがした。