ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
ずるい、と思う。


そんな笑顔を見せる雪ちゃんは、病気だなんて思えないくらい“今まで通り”で……。


あたしの心を掻き乱すだけじゃなく、捉えて離さない。


だけど、この先に待ち受ける現実はきっととてつもなく残酷で、そこには光すら無いのかもしれない。


そんな事を考えると、途端に目頭が熱くなって……。


あたしはそれを隠すように体を倒し、雪ちゃんの唇を奪った。


久しぶりに交わしたキスは、彼の体温を近くに感じさせてくれたのに……。


寂しくて苦しくて切なくて、そんな感情を抱いている胸の奥が痛くて堪らなかった。


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