ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「渚は甘えん坊だね」


雪ちゃんに抱き着いたまま離れないあたしに、彼は少しだけ困ったように笑った。


その表情にどんな意味が隠されているのかを、あたしはもう気付いている。


きっと雪ちゃんは、自分がいなくなった未来で生きていくあたしの事を、誰よりも心配してくれていて……。


自分の事よりもあたしの事を懸念するあまり、あたしが甘える度に困った表情を見せてしまうんだと思う。


だけど……。


あたしは、雪ちゃんの傍にいる時は“今まで通り”甘えていたくて、いつだってその事には気付かない振りをしていた。


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