ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
泣くな、泣くな、泣くな……。


あたしはいつかみたいに泣かないでいるだけで精一杯で、声を出す事すら出来ない。


それなのに……。


雪ちゃんは右手であたしの右手を強く握ったまま、もう片方の手を差し出した。


そして、一本だけ指を残し、残りの指をゆっくりと折っていく。


小指だけを立てた左手を差し出した雪ちゃんが、今にも泣きそうな程に顔を歪めながら笑った。


「これが、“最後の約束”だから」


もう、涙を堪える事は出来なかった。


必死に首を振って拒絶するあたしに対し、雪ちゃんも同じように首を小さく横に振った。


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