ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「雪ちゃん……」


酸素マスクをした雪ちゃんの手を握って、囁くように呼び掛けた。


たくさんの機械に繋がれた彼の姿は、容態の悪さをどんな言葉よりも雄弁に物語っている。


「雪ちゃん……あのね……」


話したい事がたくさんあるのに言葉はちっとも出て来なくて、代わりに溢れ出した涙が簡単に零れ落ちていく。


「ゆ、きちゃ……」


それでも声を振り絞って呼び掛けていると、握っていた雪ちゃんの手がピクリと動いた。


「雪ちゃん……?」


あたしが彼の顔を覗き込むと、お兄ちゃん達も弾かれたようにベッドを覗き込んだ。


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