ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
うっすらと瞼を開けた雪ちゃんの手を、咄嗟に強く握る。


「雪ちゃん!」


「雪緒!?」


「雪緒、わかるか!?」


体を乗り出したあたしに続いて、おばさんとおじさんも呼び掛けた。


お兄ちゃんはそんな二人に譲るように一歩下がって、眉を寄せながら雪ちゃんの様子を窺っている。


程なくして彼がゆっくりと唇を動かしたけど、酸素マスクが邪魔をして声を聞き取れなかった。


歯痒さを感じていると、おじさんが見兼ねたように酸素マスクを外した。


驚いて顔を上げたあたしに、おじさんは小さく笑った。


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