ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「先生が『話したそうにしてたら外して構わない』って言ってたから、大丈夫だよ」


その言葉に安堵し、再び雪ちゃんに視線を落とした。


だけど……。


不思議そうな顔であたしを見る雪ちゃんに、大きな不安が過ぎった。


「ゆ──」


「こんにちは……。君、名前は……?」


あたしの声を遮って弱々しい笑みとともに投げ掛けられたのは、言葉を失うような質問だった。


止まり掛けていた涙が、またポロポロと零れ落ちていく。


それでも返事を待つ雪ちゃんに、あたしは喉の奥に張り付いた声を絞り出した。


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