ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「雪ちゃん……」


マリッジリングをギュッと握り締め、囁くように呟いた。


心からお祝いする事は出来なくなってしまったけど、今日は毎年お祝いしていた日だから。


「お誕生日……おめでとう……っ!」


手の中のリングは雪ちゃんの体に最後まで触れていた物だから、もしかしたら彼が応えてくれるんじゃないかって思った。


だけど……。


いつものような優しい笑顔も声も、やっぱり返って来る事は無かった。


「渚ちゃん、ありがとう……」


おじさんは、まるで雪ちゃんの代わりに応えるかのように微笑んでいた。


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