ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
海岸に続く階段の前で真保と別れて、いつも雪ちゃんを待っていた場所で腰を下ろした。


冬の海風は冷たくて、スカートから出ている足がチクチクと痛むけど……。


雪ちゃんを待つあたしにとっては、寒さも痛みも大した事は無い。


チェーンに通した雪ちゃんのリングを、薬指に二つのリングが着いた左手で握り締めて、海を見つめながら“いつものように”彼の帰りを待った。


だけど──。


「渚……」


太陽が傾き始めた頃に声を掛けて来たのは、こんなにも待ち焦がれている雪ちゃんじゃなくて、困ったように眉を寄せているお兄ちゃんだった。


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