ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「母さんから『まだ渚が帰って来ない』って連絡があったから、真保ちゃんに電話したんだ……」


真保から事情を聞いたお兄ちゃんは、きっと仕事を置いて迎えに来てくれたに違いない。


オイル塗れの軍手を着けたままの両手が、それを物語っていた。


あたしの視線に気付いたのか、お兄ちゃんは軍手を外しながら口を開いた。


「ほら、帰るぞ。こんなに冷えて……。風邪引いたらどうするんだ」


「お兄ちゃん……」


あたしは、お兄ちゃんの話なんて気にも留めずに続けた。


「雪ちゃんが……来ないの……」


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