ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「今日は寒いから、もっと暖かい格好で行けよ」


優しく微笑むお兄ちゃんは、たぶんあたしの行き先を知っているんだろう。


それでも引き止めずにいてくれたのは、きっとあたしの気持ちをよくわかってくれているから……。


「ちょっと待ってろ」


お兄ちゃんはそう言ってからあたしの部屋に入って、取って来たマフラーをあたしの首にグルグルと巻いた。


「これなら、さっきよりは寒さもマシだろ。今日は俺も休みだから、後で迎えに行く。気をつけて行けよ?」


あたしは小さく頷いた後、お兄ちゃんを横切って階段を降りた。


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