ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「だから、もう二度とこんな事するな……」


涙混じりで零された言葉に、あたしは唇を噛み締めながら頷いた。


雪ちゃんがいない現実を、まだちゃんと受け止める事は出来ない。


それでも、あたしが彼の元に行けば自分(アタシ)が心に負ったものと同じ傷を周りの人達に与えてしまう事になると言うのなら、もう二度とこんな事はしちゃいけないって思ったから……。


「ごめ、なさっ……!」


涙と一緒に落とした言葉は、潮騒に奪われて消えたけど……。


本当に泣いていた空は泣き止んで、鈍色(ニビイロ)の雲の隙間からは柔らかな光が降り注いでいた。


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