ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「ねぇ、はやくじーじとばーばのおうちにいこうよ!きょうはパパのおたんじょうびなんでしょ?りーね、パパにこのかいがらあげるの」


そう言って広げた小さな手の平には、さっきの雪色の貝殻。


「パパ、きっと喜ぶよ」


あたしの言葉で満面に笑みを浮かべた六花を見て、ふと“消えない雪”を見付けた気がした。


いつか、自分は雪と同じように消えてしまうと言った、雪ちゃん。


その現実に泣いてばかりで、雪が溶けない術を欲していた、あたし。


それが今、新しい命となって目の前に存在してくれているんだ──。


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