ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
たった一言。


大好きな声で名前を呼ばれただけだったのに、何だか泣き出してしまいそうになった。


その理由を、上手く言葉にする事なんて出来ない。


だけど……。


不安を訴える心が、いつもと違う雪ちゃんが、あたしの涙を誘おうとする。


「お願いだから、ちゃんと話を聞いて」


首を横に振ったのは、優しく諭すような口調とは違って、その表情が全く読めなかったから……。


その瞳には、いつもの優しさも、いつもの笑顔も無い。


それがまた不安を大きくして、言葉に出来ない程の大きな恐怖に心が飲み込まれていった。


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