ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「渚……」


もう一度名前を呼ばれた時、それが自分の事だって事が一瞬わからなかった程、雪ちゃんの声が冷たく聞こえた。


彼はどこか苦しげに目を閉じて深呼吸をした後、眉を寄せながらゆっくりと目を開けた。


「……俺達、別れよう」


ハッキリとした口調で紡がれた、終わりを告げる台詞。


それを吐いた時の雪ちゃんの瞳に一切の迷いが無い事にも、当たり前のように彼の口から出たその台詞にも、ただただ驚いて言葉を失ってしまった。


「俺達、もう終わりにしよう」


再度口を開いた雪ちゃんから出たのも、あたしとの終わりを望む冷たい台詞だった。


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