ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
「う、そ……。……嘘……嘘、だよ……ね……?」


首を僅かに横に振りながら、譫言のように小さく繰り返す。


そんなあたしに、雪ちゃんは左手でうなじを触ったままため息をついた。


「嘘じゃないから」


面倒臭そうに眉をしかめる雪ちゃんは、あたしが知っている彼じゃない。


それなのに……。


「……もういい加減に、甘えたな渚の子守りはうんざりなんだ。すぐに泣くし、ワガママだし、周りに頼ってばっかりだし……。一緒にいると、とにかくイライラする」


目の前にいる雪ちゃんは、冷静な表情を崩さずに確かにそう言った。


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