ずっと消えない約束を、キミと〜雪の降る海で〜
ポロポロと零れ落ちる涙は、まるで堰を切ったように止まらない。


しばらくの間黙っていた雪ちゃんは、うなじを触っていた左手をあたしに向かって伸ばそうとした。


それなのに──。


「……泣くな」


その手はあたしに届く事は無いまま、ゆっくりと空を切った。


「どんなに泣いたって、俺はもうお前の涙を拭ってやれないから」


そして、雪ちゃんはあたしの全てを冷たく突き放すように、踵を返してしまった。


頭の中ではまだ状況を理解出来ていないのに、背中を向けた彼があたしを拒絶している事だけはわかる。


だけど……。


< 95 / 500 >

この作品をシェア

pagetop