それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「はぁ?なに言ってんのあやめちゃん!
ありえない、絶対ありえない!だってわたしは……」
「王子先輩とつき合ってるんだもんねー」
「そうよ。生川先輩、王子様だし、なんてったって、優しいし!」
そう、語気強く言い切ったわりに、頭に浮かんでいたのは、生川先輩の笑顔ではなかった。
だけど、悪態をついている根岸先輩でもなくて。
「ありがとう、ほめてくれて」
後ろから突然声をかけられて、びくっとする。
声の主は、王子先輩こと生川先輩だった。