それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


「ちょっと急がないと遅刻するよ」


そう言って、わたしの腕をぽんっと叩いた。


「はい」


「じゃあね」


軽く手を挙げ去っていく生川先輩の背中を眺めた。


腕に生川先輩の手の感触が残っていて、どきどきした。


広い背中。


かっちりとした学ランが、よく似合う。


……かっこいい。


大きな背中に見とれていると。


「ちょっとちょっとちょっとちょっと!!反則でしょう!!」


あやめちゃんはわたしの腕をバシバシ叩いた。

< 107 / 305 >

この作品をシェア

pagetop