それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「ちょっと急がないと遅刻するよ」
そう言って、わたしの腕をぽんっと叩いた。
「はい」
「じゃあね」
軽く手を挙げ去っていく生川先輩の背中を眺めた。
腕に生川先輩の手の感触が残っていて、どきどきした。
広い背中。
かっちりとした学ランが、よく似合う。
……かっこいい。
大きな背中に見とれていると。
「ちょっとちょっとちょっとちょっと!!反則でしょう!!」
あやめちゃんはわたしの腕をバシバシ叩いた。