それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
危険な香り
「なかなか良かったね」
生川先輩と映画を観終わったあと、カフェで一休みしていた。
「はい」
生川先輩と向かい合わせに座って、オレンジジュースを一口飲む。
男の人とデートをするなんて初めてで、なにもかもがどきどきだけど、生川先輩はスマートにわたしをエスコートしてくれる。
そんな先輩のことを、すれ違う人たちが「かっこいい」ってひそひそ話しているのが聞こえてくる。
そんな人と自分がデートしてるなんて、正直、まだ少し信じられなくて。
そして、そんな人とデートしてるのに、頭の中では浅野先輩の言葉が離れなくて。
ついつい、考え込んでしまう。