それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「美術部に不良の先輩がいるって噂、あったじゃない。
あれ、カケル先輩のことだと思う」
「え?根岸先輩?どういうこと?」
「あたしさぁ、昨日バイトの帰りに見ちゃったんだよね」
「なにを?」
すると、あやめちゃんはさらにわたしに顔を寄せ。
「やばいお店がいっぱい入ってるテナントビルに入っていくとこ」
「うそ!?」
「だから、声、大きいって」
「ご、ごめん」
「ホストクラブとか、キャバクラとか、いろいろ入ってる建物でさ。
出入りしてるのけっばい人たちばっかなんだって。
そこに、何食わぬ顔して、そりゃもう慣れた感じで入ってくとこ、ばっちり見ちゃったんだもん」