それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
◇◆


「おとなしい顔して、けっこう首突っ込んでくよねぇ、あんたは。

 ほら、あそこ」


わたしとあやめちゃんは、その例の建物を、少し離れたところから眺めた。


たしかに。


い、いかがわしい……。


まだ夕方だから、明かりがついていないけど、夜になれば、テナントの看板が煌々と輝く、いかにも大人の建物だ。


目の当りにすると、ショックも倍増と言いますか……。


胸がずきんずきんと痛みを増す。


「ね?ヤバいでしょ?」


「ヤバいですね」


「あそこにフツーの高校生が堂々と一人で入れますか?」


「無理……ですね」

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