それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「ひな、大丈夫?」
あやめちゃんが、わたしの背中にそっと手を当てた。
「う、うん……」
「ささ、もう、行こ」
あやめちゃんは、わたしの背中に手を添えたまま歩き出した。
あまり言葉を交わさないまま、駅の近くまで来ると、あやめちゃんはわたしに向き直り。
「じゃ、あたし、バイトだから。行くね」
「うん。ごめんね、無理言って。ありがとう」
「いいっていいって」
あやめちゃんは、いつもの弾けんばかりの笑顔を向けた。
「じゃあね」
そう言うと、あやめちゃんは手をひらひらと振って、急ぎ足でバイトに向かった。