それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「さあ、どこ行こうかぁ」
もう一人の男が、怪しげな笑みを浮かべている。
わたしはただ、首を横に振ることしかできなくて、体はがたがたと震えていた。
こわいこわいこわい!
誰か、助けて!!
その時。
「俺の女に、なにか用ですかね?」
後ろから聞き覚えのある声がした。
振り返ると、そこに、不敵な笑みを浮かべている根岸先輩が立っていた。
「せんぱ……」
わたしが言い終わらないうちに、根岸先輩はわたしの腕を掴んでいた男を殴っていた。