それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


なに、これ。


痛い。


そして、体中が、熱い。


「大丈夫か?」


根岸先輩は、わたしを見下ろした。


息を整えながら、長い前髪をかき上げる。


その仕草が、とても、色っぽかった。


だけど。


「先輩……血が……」


かき上げた右手には、血がにじんでいた。


先輩は、ちらりと手の甲を見て、


「心配するな。どうってことない」


そう言って、ふっと笑った。

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