それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
肩で息をする根岸先輩の息が、わたしの頬をかすめる。
どきん、どきん、どきん、どきん。
鼓動が根岸先輩に伝わってしまいそう。
根岸先輩は顔をちらりと出し、通りを確認すると、大きく息を吐いた。
「多分、もう大丈夫だろ」
そう言って、わたしににやりと笑ってみせた。
どきっ。
胸がきゅーっと締めつけられる。
どうしていちいちこんなに胸が痛くなるの?
「ありがとうございました!」
思いきり頭を下げようとしたら、至近距離にいる根岸先輩の胸に頭がうずまってしまった。