それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


6限目が終わり、帰り支度をしていると。


「ひなちゃん」


教室の後ろの扉のところで、浅野先輩がにんまり笑って、手招きしていた。


浅野先輩が平気な顔して「ひなちゃん」なんて呼ぶものだから、クラスメイトの視線が集中しているのがわかる。


いそいそと、浅野先輩のところへ行くと。


「ちょっといい?」


そう言って、わたしを屋上へ連れ出した。


「最近めっきり顔出さないけど、どうかした?」


浅野先輩は、屋上のフェンスにもたれて小首を傾げている。


わたしは視線を落としたまま、はぁ、とため息をついた。

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