それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
待って!待って!
根岸先輩がどこかに行ってしまう!
そんな気がして。
全速力で廊下を走った。
根岸先輩の背中が角を曲がるのが見えた時。
「根岸先輩っ!」
大声で叫んでも、根岸先輩は止まってくれなくて。
「お願いっ!待って!」
必死で追いかけ、ようやく立ち止まってくれた根岸先輩になんとか追いついた。
根岸先輩は、うつむいたままわたしの方を見てくれなくて。
だけど、なんて言葉をかければいいのか、わからなくて。
そっと、根岸先輩の手を握った。