それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


「ごめんなさい……こういう時、なんて声をかければいいのか、わかりません。

 なんか、胸がすごく痛くて……だけど、どうすればいいのかわかんない……」


思いが溢れ、涙が頬を伝った。


握った手に力が入る。


すると。


「何やってんだよお前。お前は生川の女だろ!

 だから人は信用できねぇんだよ!」


そう言って、私の手を振り払った。


胸が、切り裂かれた。


根岸先輩はくるりと背を向けた。


待って!

違う!

違うの!


わたしが好きなのは、本当に好きなのは、あなたなの!

< 173 / 305 >

この作品をシェア

pagetop