それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「根岸先輩なのっ!」
去りかけた根岸先輩の袖をきゅっと掴んだ。
「は?」
根岸先輩は苛立った表情を浮かべて、わたしを睨んだ。
その冷たい視線に凍りそうだった。
唇を噛みしめる。
そして。
「わたしが好きなのは、根岸先輩なんです」
「は?」
根岸先輩の眉が、どんどん吊りあがる。
「気づいたんです。やっと。自分の気持ちに」
鋭い視線に負けないように、根岸先輩の顔をじっと見つめた。