それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


わたしの唇をこじ開けて、侵入してくる熱。


初めての感覚に、頭が真っ白になった。


息ができなくて。


苦しくて。


優しさの感じられないそのキスは、悲しいほどに怖かったのに、押さえつけられた体は身動きがとれず、されるがままだった。


いつの間にか、涙があふれていた。


涙が頬を伝う。


ふと、しょっぱい味がした。


すると突然、根岸先輩は唇を離した。

< 177 / 305 >

この作品をシェア

pagetop