それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


息がうまくできなかったわたしは、無意識に肩で息をしていて。


そこに立っているのがやっとで。


真っ赤になっているだろう瞳で、根岸先輩をちらりと見上げると、少し驚いたような、困惑しているような、おびえているような、なんともいえない表情をしていた。


すると。


「くそっ」


壁を拳で殴りつけ、去っていってしまった。


置き去りにされたわたしは、力が抜けてその場にしゃがみこんだ。



こわかった。



根岸先輩の力が強くて。


冷たくて。


乱暴で。

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