それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


「ひなちゃん?」


黙り込んだわたしをのぞき込む。


「……怒らせちゃったの」


「え?」


「根岸先輩が荒れて美術室から出てったあの後、わたし、怒らせちゃったの」


「どうして?」


「それは……」


わたしは、辺りを確認して浅野先輩に顔を寄せた。


「自分の正直な気持ちを言ったから……」


「正直な気持ち?」


「うん」


ちらりと浅野先輩を見上げると、察したようで目を丸くした。

< 184 / 305 >

この作品をシェア

pagetop