それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「ひなちゃん?」
黙り込んだわたしをのぞき込む。
「……怒らせちゃったの」
「え?」
「根岸先輩が荒れて美術室から出てったあの後、わたし、怒らせちゃったの」
「どうして?」
「それは……」
わたしは、辺りを確認して浅野先輩に顔を寄せた。
「自分の正直な気持ちを言ったから……」
「正直な気持ち?」
「うん」
ちらりと浅野先輩を見上げると、察したようで目を丸くした。