それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「あなたがどなたか存じませんが、あいつ……根岸は今どこにいるんです?」
打ちひしがれているわたしをよそに、浅野先輩は冷静に淡々と尋ねていた。
「これが、あなたの新しい彼氏?
ふ~ん、お似合いじゃない。学生さんって感じで」
その人は、浅野先輩をまじまじと見て、わたしに不敵な笑顔を向けた。
「学生同士でステキじゃない。これで丸く収まったわね」
「根岸はどこだと聞いているんです」
浅野先輩は、その人の言葉にかぶせるように、冷たく言った。
「そのうち出勤してくるわよ」
「出勤?」
浅野先輩は眉をひそめた。