それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


「ひな……」


「っていうか、わたしはただの後輩なんだし。根岸先輩が誰と付き合おうと、そんなの関係ないなんだよね……」


そう言いながら、以前、S町で根岸先輩に助けられたときのことを思い出していた。


『……街中で泣きっ面なんて、見られたくねぇだろ?』


そう言って、わたしを包み込んでくれた。


根岸先輩の広い胸と、優しさを思い出すと涙が溢れてくる。


だけど、傷ついた根岸先輩を思い出すと、胸がずきずきと痛む。


「ねえ、あやめちゃん」


「ん?」


「学校やめるってさぁ、よほどのことだよね」


「そうだね……」

< 195 / 305 >

この作品をシェア

pagetop