それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「ひな……」
「っていうか、わたしはただの後輩なんだし。根岸先輩が誰と付き合おうと、そんなの関係ないなんだよね……」
そう言いながら、以前、S町で根岸先輩に助けられたときのことを思い出していた。
『……街中で泣きっ面なんて、見られたくねぇだろ?』
そう言って、わたしを包み込んでくれた。
根岸先輩の広い胸と、優しさを思い出すと涙が溢れてくる。
だけど、傷ついた根岸先輩を思い出すと、胸がずきずきと痛む。
「ねえ、あやめちゃん」
「ん?」
「学校やめるってさぁ、よほどのことだよね」
「そうだね……」