それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
◇◆


週明け、とめどなくため息をつきながら学校への道のりを歩いていた。


『最初っから、好きだった』


あの根岸先輩が、わたしのためにこんなセリフを真剣に言ってくれたのに。


本当なら嬉しくて涙が出ちゃうくらいなのに。


あの元カノさんにとらわれているわたしって、人として小さいのかな。


女として醜いかな。


だけど根岸先輩と元カノさんが同じ建物で働いているんだと思うと、胸がちくちくする。


そのつもりがなくても、顔を合わすことだってあるだろうし。


結局、根岸先輩は元カノさんのことを抱かなかったというのに。


根岸先輩のことを心配していた気持ちが、結局自分の嫉妬心に負けてしまっていることに気づいて、自分に嫌気がさした。

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