それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


心配の種を完全に読み取られていたことと、わたしを安心させようとしてくれる優しさに、いつもながら生川先輩にはかなわないと思ってしまう。


そして、そのたびに、この先輩を傷つけてしまったことを後悔してしまう。


「そ、そうですか……」


どう反応していいのかわからなかった。


同じクラスの生川先輩なら、普段の根岸先輩の様子を知っているはずだけど、まさか「元カレ」にそんなことを聞くほど、わたしもずうずうしくはなれない。


小さくため息が漏れてしまった。


「……もどかしい」


「えっ?」


「おれなら、ひなちゃんにため息をつかせるようなことはしないのに」


そう言って、生川先輩はわたしをまっすぐ見つめた。

< 223 / 305 >

この作品をシェア

pagetop