それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
心配の種を完全に読み取られていたことと、わたしを安心させようとしてくれる優しさに、いつもながら生川先輩にはかなわないと思ってしまう。
そして、そのたびに、この先輩を傷つけてしまったことを後悔してしまう。
「そ、そうですか……」
どう反応していいのかわからなかった。
同じクラスの生川先輩なら、普段の根岸先輩の様子を知っているはずだけど、まさか「元カレ」にそんなことを聞くほど、わたしもずうずうしくはなれない。
小さくため息が漏れてしまった。
「……もどかしい」
「えっ?」
「おれなら、ひなちゃんにため息をつかせるようなことはしないのに」
そう言って、生川先輩はわたしをまっすぐ見つめた。