それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
真剣なまなざし。
わたしはとっさに目を逸らせてしまった。
その瞳には応えられないから。
そこは、やっぱり譲れないから。
「ごめん。おれ、完全に困らせてるよね」
生川先輩は、ふっと笑い、髪をかき上げた。
「……ごめんなさい」
「なんでひなちゃんが謝るの。謝る必要なんてないじゃない」
そう、笑顔で軽く言ってくれたけど。
やっぱり申し訳なく思ってしまう、気持ちに応えられないのって。
どうして人の気持ちって、うまく交わらないんだろう。
思いが伝わらないのもつらいし、受け止められないのもつらい。
……切ないな。