それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「根岸だ」
そう言って、浅野先輩はにやりとした。
「なんだよ、あいつは。ったく、どうしようもないな」
口ではそう言いながらも、浅野先輩は嬉しそうだった。
ほんとだよ。
絵なんて描けるような状況じゃないのかも、って心配してたのに。
しかも、こっそり自分だけで搬入するなんて。
まあ、根岸先輩らしいといえば、らしいけれど。
……だけど、よかった。
本当によかった。
絵を描く元気があって、本当によかった。