それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
極上のキス
赤信号や電車の待ち時間が、とても長く感じた。
一秒でも早く根岸先輩のところへ行きたくて。
会いたくて。
わたしは、本当にバカだ。
根岸先輩がどれだけの思いであの時告白してくれたのか、全然わかっていなかった。
ちっぽけなわたしのせいで、わたしの嫉妬心のせいで、せっかくの根岸先輩の気持ちを受け止められなかったなんて。
それなのに、それでも根岸先輩は、諦めずにわたしなんかのために愛を表現してくれた。
伝えようとしてくれた。
しかも、あんな究極のかたちで。
どんな思いであの絵を描いたんだろう。
あんなに優しくてピュアな絵を見せられると、嫉妬心で黒かった自分が本当に恥ずかしくなる。
自分の馬鹿さ加減が、嫌になる。
もっと、懐の深い人になりたい。
受け止めたい。
あの絵を見て、もっと大人になりたいと思った。