それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
「あ、ありがとうございます」
言われたとおり勧められた丸椅子に腰かける。
よかった。
本当にここにいるんだ。
「何か食べる?あ、もちろんサービスだから安心して。純の友達だからね」
「あ、そんな、どうぞお構いなく……」
「あ、そうだ。これ食べてくれない?」
「え?」
おやじさんは奥に引っ込んでいき、コトコトと音を立てながら何やら用意をしている。
完全におやじさんのペースに巻き込まれてしまっていた。
「これさ、試しに作ってみたんだけど、よかったら食べて」
そう言ってわたしの前にシフォンケーキを置いた。
生クリームも添えられていて、見た目だけでもう十分おいしそうなのがわかる。