それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


「ん?どうかした?」


「あ、ううん。きっとどのメニューもおいしいんだろうな、と思って。

 この前、根岸先輩にもらったカツサンドも、とってもおいしかったから」


何気なくそう言うと、おやじさんはぱっと目を見開き。


「ああ!あのカツサンドは君が食べたのか!

 ふ~ん、なるほどねぇ」


おやじさんは腕を組んでにんまりした。


な、なんだか。


まじまじと見られているような気が……。


「純は君に元気になってもらいたかったんだね」


さらりと言ったおやじさんの言葉に、顔がかぁっと赤くなった。


思わず頬を手で包む。


それを見たおやじさんに、くすりと笑われてしまって、また恥ずかしくなった。


その時、お店の扉が開いた。


買い物袋を提げた根岸先輩は、カウンターにいるわたしの姿を見て、一瞬びくっとしたのがわかった。

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