それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
最寄駅で降りて、家までの道を歩いていた。
手は、しっかりと握られたままで。
地元を男の人と手をつないで歩くのは、なんだか少し気恥ずかしい。
近所のおばさんに見られたらどうしよう、なんてことが頭をよぎった。
一歩ずつ、自分の家に近づいていく。
一歩ずつ、お別れの時間が近づいてくる。
会おうと思えばいつだって会えるのに、今日のこの瞬間に離れなくちゃいけないのが寂しくて。
公園の前まで来たとき、足を止めてしまった。
「ん?」
根岸先輩がわたしをちらりと窺った。