それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜
今更ながら、なんて大胆なことをしてしまったんだろう、と後悔してももう遅くて。
だけど「なんでもないです」と言って、歩を進めるのもやっぱり嫌で。
やっぱり、離れたくなくて。
黙ったまま立ち止まっていると。
「わぁっ」
根岸先輩が突然走り出すので、繋いでいた手がぐいっと引っ張られた。
なにがなんだかわからず引っ張られるままについて行くと、公園の土管の遊具の中に引っ張り込まれた。
そして、根岸先輩は意地悪そうな笑みを浮かべ。
「こうして欲しかったんだろ?」
わたしの顔をじっと見つめた。
違います、とは言えず。
むしろ、こうして欲しかったんだけど、「はいそうです」と言うのはあまりに恥ずかしくて。