それから。〜不機嫌な先輩と不器用恋愛〜


「あの先輩、かっこいいね」


どこからか女子のそんな声が聞こえてきた。


いやいやいやいや。


わたし、それどころではありませんから。


あの人が探しているのはおそらくきっと。


「見っけ」


顔を隠そうとした瞬間、根岸先輩が思いきりわたしを指差した。


やっぱり。


根岸先輩はわたしに近づき、にやにやと不敵な笑みを浮かべる。


うっ。


こ、怖いんですけど!


「お前のカバン、どれ?」


根岸先輩はポケットに手をつっこんだまま、教室の中をじろじろとのぞく。

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